「SOUND/MINDSCAPES 音の風景、こころの風景」展@吉祥寺ArtCenter Ongoing

yut-iida2008-12-23


副題は「『知覚』から考える美術とコンピューターサイエンス、展覧会と連日公開トーク」。去る12月7日(日)、最終日のクロージングトークを訪れた。

  http://ongoing.jp/gallery/sound.html

ゲストは茂木健一郎さん池上高志さん、鷲見淳さん。そしてトークの進行が、主催者のJJオートクチュリエさん、出月秀明さん。定員30名+関係者が立ち見。トークのタイトルは、「アート&サイエンス:クロストーク、この試みは一体?」と「芸術家と科学者の態度に対する民族学的考察」という二本立て。ゲストではなく主催者が考えたタイトルのようだ。

ワークショップにもとづくこの展覧会では、似た者同士の(いい意味で見境のない)芸術家と科学者が楽しく恊働してるわけで、そうした状況にも関わらずトークでは、アート/サイエンスという「境界」をわざわざ設定してしまっているので、端的に言って、議論が空回りしてしまっていた。この古典的な問題設定をトークのみならず、展覧会自体が素朴に踏襲してしまってたと言わざるを得ない。茂木さんが「具体を探せ」と力説していた通り。芸術家と科学者の恊働を第三者である民族学者が客観的に観察できるという前提も、ポストモダン人類学の観点からすれば素朴すぎるわけで、アジェンダの脆さをいちばん冷静に把握していたのは当の鷲見さんだった。社会科学における観察者効果は、それこそ(厳密には誤解だが)不確定性理論などに喩えられる。しかし、鷲見さんはあえてそのことには触れず、主催者の2人に期待されてる観察者としての役割をショー的に演じようとされていたけど、自分を外人レスラーに喩えてた茂木さんに、いきなりパイプ椅子で殴られたような感じで気の毒だった。

全体的なことは別にして、mindscapeとsoundscapeを結びつけようとするワークショップのアイデア、「site-specificということ自体、現代美術が構えている」といった茂木さんの指摘など、断片的には面白い知見に触れることができて面白かった。ワークショップもトークも「まだ一周目」という印象。これから辛抱して継続すれば、きっと質的変化が起こるはず。

オーナーの希くん&桃さんの子ども、大きくなってたなー。