森村泰昌『美の教室、静聴せよ』@熊本市現代美術館

熊本の現代美術館の評判は以前から耳にしていたので、ちょうど森村の回顧展もやってることだし、行ってみた。

森村展は、イヤホンで作家本人の解説を聴きながら鑑賞する仕掛け。MP3プレイヤーがあまりにも使いづらいのがストレスだったが、美術史を踏まえて自らの立ち位置を説く森村の明朗な語り口は、少し冗長だけど、聴いていて小気味よい。三島由紀夫に扮した新作も面白かった。

同時開催されていた若手版画家・元田久治の個展も、期待以上によかった。廃墟と化した都市(主に東京の名所)を象った作品群。そういえば以前、美術手帖か何かでこの人の作品を知って、一度観てみたいと思っていたのだった。

繁華街のど真ん中に位置していることもあって、館内の図書室には若い人の姿が多く、活気がある。ジェームズ・タレルと宮島達男のアートワークは期待していたほどではなかったが、草間彌生ミラールームとマリーナ・アブラモヴィッチの本棚は、一見の価値あり。石井裕さんの作品が常設展示されている部屋もあったのだけど、ちょっと奥まったところにあって、僕が入ったときは閑散としていた。あとはもう少しミュージアムショップが充実していたらいいのに、と思う。