『Piece by Piece』
ピース・バイ・ピース:ザ・ヒストリー・オブ・サン・フランシスコ・グラフィティ・ドキュメンテッド [DVD]
- 出版社/メーカー: ナウオンメディア(株)
- 発売日: 2006/09/22
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発売日にHMVで購入していたのだったが、ようやく観ることができた。
・・・というか、現実から逃避したくて、つい夜更けに観てしまった。
タイトルの通り、サンフランシスコのグラフィティが80年代以降、対抗文化の薫陶を受けたアメリカ西海岸の地域風土と交配し、独特の発展を遂げてきた経緯を、Twistをはじめ、練達のライターたちの証言にもとづいて明らかにしているドキュメンタリー作品。
グラフィティの系譜については諸説あるが、1970年前後のニューヨークにおいて、若者たちが壁や地下鉄の車両にタグを書き付けたのが発祥で、その後、全米で急速に浸透していったとされる点では一致している。しかし、この作品によると、サンフランシスコには当初、ニューヨークの影響は何もなく、スパニッシュ居住区の地域性を帯びたものだったという。ライターたちは日常的に路線バスに乗り、車内にグラフィティを描きまくっていたのだったが、1983年、ニューヨークのグラフィティ文化を紹介したドキュメンタリー『Style Wars』がテレビで放送され、地下鉄に描かれたグラフィティの映像が初めて、サンフランシスコのライターたちに強い衝撃を与えたのだった。「俺達にはニューヨークのような地下鉄はない、しょうがないから、壁を地下鉄の変わりにグラフィティしたよ。そうする事で地下鉄にいる気分になれたもんだ」。
グローバルな都市現象としてのグラフィティを活写したのが『Write and Unite』(2005)だったが、『Piece by Piece』は逆に、地域的文脈にもとづいてローカライズされたグラフィティのありようを緻密に跡付けている。 拙稿「メディア文化としてのグラフィティ」でも指摘したように、日本では90年代のなかばまで、サーフィンやスケートボードといったウェストコースト派ファッションとともに、西海岸のグラフィティがさかんに紹介されていた経緯があるだけに、日本のグラフィティの源流を辿るという意味でも、なおさら興味深く観ることができた。
それにしても・・・アートフィルムにはよくあることだが、あまりにも日本語字幕がひどい。
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