電話マニアの本

ケータイの研究を始めた頃から、はっきりとした目論見があるわけではないが、古本屋で電話マニアの本を少しずつ買い集めている。今日も2冊買った。

  • フリーク研究会編『NTT 電話裏マニュアル ver.2』データハウス、1988年

この類の本は105円より高い値段で売られていることはないので、懐は痛まない。

80年代後半に発売された前者は、「盗聴機はどこで買えるか?」(第2章「電話を盗聴せよ!!」)といった過激な内容から、「キャッチホンは使うな!」「長距離電話を安くあげる法」(第4章「NTTをしゃぶりつくせ!!」)といった合法的な節約術まで幅が広いが、必ずしもDIYの精神が貫かれているわけではなく、「電話工事は電器店に頼め! もしくは、自分でやれ!」(同)といった具合。また、「NTT伝言ダイヤルとは?」(第6章「ニューメディア時代の電話」)とか「パソコン通信とは?」(第7章「パソコンを電話線につなげ!!」)といった、この時代ならではの技術解説もあって面白い。

さて、問題は後者で、三才ブックス=ラジオライフによって牽引されている(とみられる)現在の電話マニア、そういう意識を持っている人たちが果たしてどの程度いるのか、まったく想像がつかない。タダで通話するテクニックを追究しているのは80年代と変わらないが、最初の記事が「徹底追及 出会い系サイトはサクラだらけだった!」かと思ったら、「バカな男どもをもてあそぶ!! 写メールはネカマの天国」という真逆の立場の読者レポートもあって、もはや何でもありの状態。前者の本からは明確に看取できた読者のコミュニティ感覚を、こちらはまるで察知することができない。しかも、広告はほとんどテレクラと出会い系サイトで、もはやマニアの意味合いが完全に変化してしまっているようだが、どういうわけか巻末には、「データ集@電話マニア」という付録がついていて、NTTの沿革とサービス展開、電話信号の種別(監視信号、選択信号、可聴音、課金信号)ごとの電気的条件、ADSLISDNの通信規格といった資料が充実している(本文とはほとんど無関係なのだが・・・)。

このあたりの経年変化については、いずれ詳しくまとめてみたい。


今日購入したその他の古本は以下の通り。

  • 西垣通『麗人伝説 ―セルジュ・ルタンスと幻の女たち』リブロポート、1994年

*1:原著はTechnopoly。このタイトルのままのほうが良かった気がするのだが。