藤田真文『ギフト、再配達』

午後、神保町にて(多忙極まりない編者に代わって)共著本の打ち合わせ。そのさいに編集者の方から頂戴したのがこの本。まずタイトルがいい。

ギフト、再配達―テレビ・テクスト分析入門

ギフト、再配達―テレビ・テクスト分析入門

1997年に放送されたドラマ『ギフト』を素材とするテレビ・テクスト分析の実践書。物語分析の方法論として、物語論記号論、映像論、精神分析カルチュラル・スタディーズ、メディア論などからの知見を駆使している上、構造主義、社会史、フェミニズム、メディア倫理といった観点から、テレビ・テクストと社会の関係(バタフライナイフをめぐる「ギフト事件」はあくまでもその一端に過ぎない)についても考察を加えていて、テレビ・テクストに関する総合的な入門書としても申し分ない(これを教科書に授業ができる人は限られているけれど)。あとがきに「構想十五年、執筆三ヶ月」とあるけれど、分析の方法論を模索している段階で、その実践へと背中を押してくれる対象と運命的に出会うということは、研究者にとってこの上ない幸運なのだなあ。