岩井成昭の図録

yut-iida2006-04-15


アサヒビール芸術文化財団から今ごろ、昨年の初夏に開催された「大凶かえって吉の兆 おみくじプロジェクト:岩井成昭版」の図録が郵送されてきた。あいにく展覧会には行っていないのだが、ぱらぱらと図録をめくってみるとなかなか面白い。秋に横浜トリエンナーレで観た作品(電話ボックス)も面白かったが、こっちは注力の度合いが違う。

全国には多種多様な「おみくじ」がありますが、ときに古い文体で書かれた内容はわかりにくいもの。そんなとき一昔前であれば、境内に陣取る占い師やお年寄りが「解釈人」となり、神仏からのアドバイスを咀嚼し、人生の先輩としての助言も与えていたそうです。まさに寺社の境内は、あらゆる世代の人々が集い、互いの経験や感情を共有する地域コミュニティの核として機能していたといえるでしょう。
「大凶かえって吉の兆(うらかた)」と題された本展では、人々が「おみくじ」をどう解釈するのかに着目し、岩井成昭が独自の「おみくじ」を考案します。
巷にあふれる言葉の数々、小説や歌詞の一文、あるいは政治家の発言や含蓄ある名言など…これらの文言をさまざまな人から集め、「吉」「凶」どちらの兆となるかを示した「おみくじ」を制作。来場者に引いてもらい、それぞれの心境や状況、世代や経験知によって異なるであろう多彩な解釈を重ねていきます。
あわせて、実際の寺社や東南アジアでのリサーチから現代人の「おみくじ」志向を探り、映像等で紹介。「おみくじ」を手がかりに現代社会の諸相をたどり、さまざまなコミュニケーションを試みる企画です。

今日になって気づいたのだが、木曜の藝大音環の講義、岩井さんの「映像基礎演習」とも時間がかぶっている。どうりでこっちは人が少ないはずだ。


参考資料: