南海放送ラジオ「みんな集まれ!マホラマ。ー高校生とラジオを考える・メディアリテラシー活動報告会」

昨日の正午から1時間、日本民間放送連盟メディアリテラシー実践プロジェクトの総括番組。高校生による取材活動の報告を含めて、すべて生放送という冒険的な試み。全体の流れは次の通り。

  • 進行はディレクターの平田瑛子さん。オープニングは、高校生たちの活動を紹介してきた「1116 Night School 第一マホラマ。学園」のパーソナリティ・升田理絵さん(マリィー先生)との掛け合いで、ケータイ、ウェブサイト、ラジオを連動させた今回のプロジェクトの趣旨を説明。
  • 1曲(GReeeeNの「扉」)を挟んで、チーム・あぐりん(華、奈美ヘェ、りぃぽむ)と、彼女たちをサポートした大学生スタッフわだちゃんの報告。あぐりんは愛媛大学附属農業高校の女子高生3人組で、台本に忠実に息のあったトーク。次いで、チーム・いよ(アツシ、サバイ、よっちゃん)と、大学生スタッフのリサちゃん。彼らは伊予高校のバンド仲間で、サバイがギターでBGMを奏でながらのトーク。ちなみに来週はセンター試験!(お互い頑張ろう・・・)
  • その後、平田さん、升田さん、僕の3人で、お勉強タイム。民放連のプロジェクトとして活動が始まった経緯、メディアリテラシーのことを僕が手短かに話し、活動の苦労を平田さんと升田さんが振り返った。僕が喋ったことは、おおむね次の通り。「ラジオに対する興味がうすい状況で、いきなり番組づくりを体験するというのは、何か足りない。そこで発想を変えることになった。子どもたちにとって身近なケータイという道具を取っ掛かりにして、ラジオの面白さを再発見することにつなげられないかと。それと同時に、ケータイやウェブとラジオを連動させることで、放送局として、ラジオに新しい価値を見出すことができないかという実験をしてきた」。
  • 再び高校生の登場。チーム・sixteen(かりんとう、はーやん、きゃべつ)と、大学生スタッフのニッタちゃん。四つのチームのなかで唯一、通っている高校が違う3人組(松山商業高校と新田青雲高校)。活動を通じて互いにすっかり仲良くなった様子。そして最後に、チーム・ファニー☆ファクトリー(かわやん、ハセ小龍)と、大学生スタッフのよっすぃ。リハーサルでみせなかった隠し球をいくつも用意していた2人に脱帽。
  • だいぶ時間が押していたので、曲をカットし、エンディングへ。ここでは、平田さんと僕に加えて、プロジェクトメンバーの山内美帆子さん、ジャーナリストの下村健一さんが参加。高校生たちは3ヶ月間、企画、取材、録音、そして今日の生出演という具合に、ラジオに関するあらゆることを経験してきて、そういう意味で、ラジオに関するメディアリテラシーを総合的に学んできたということを、僕が手短かに説明をした。すべてがうまくいったわけではないけれども、テレビではなかなか、全部を体験するということはできない、と。下村さんは「放送局が教育機関になれる、ということを今日で確信した」といった感想を、実に魅力的に述べて下さった。平田さんと山内さんのまとめも希望に満ちていて、すがすがしい幕切れだったと思う。

1時間のあいだに出演者がめまぐるしくスタジオを出入りし、ガラス張りの壁の外では、南海放送の社長さんをはじめ、多くの関係者の方々が見守って下さっていて、熱気に満ちていた。下村さんを除くと、出演者はすべて10〜20代。1時間の番組を企画から出演まで、丸ごと若手にすべて任せて下さったことに感謝。

高校生たちの報告は申し分ないが、もちろん放送のなかですべてのことを伝えきれたわけではなくて、特に、このプロジェクトでいうところのメディアリテラシーの多層的な意味合いについては、十分に話せてはいない。また、南海放送が今回の活動をいかに継承できるかということについても、具体的に触れることができていない。こうした課題については今後、活字で補っていきたい。

以下は、オンエアの前後について。

前日の夜、水越伸先生、下村健一さん、土屋祐子さん、民放連の赤塚重之さんたちと南海放送を訪れ、山内さん、平田さんと会合。この時点で下村さんに出演交渉するというムチャぶりだったが、快く応じていただいた上、番組の構成についてアドバイスをいただいた。台本に大幅な変更を加えることになったが、おかげで格段にスマートな構成になった。

当日の朝、局内のホールのステージをスタジオに見立ててリハーサル。年末年始に台本づくりを終えているので、ここでは主にスタジオへの出入りの練習。ロゴが最短で20秒しかない箇所もあって実に慌ただしいのだが、このドタバタが本番の高揚感につながったのかもしれない。

生放送のあとは軽食をとって、午後は反省会。プロジェクトの始まった経緯をしみじみと振り返り、高校生に生放送の感想を話してもらったあと、局内外の関係者の方々にコメントをいただいた。2週間後にあと一回の会合を残しているのだけれど、全員が揃うのはこの日が最後ということで、涙の卒業式となった。併せて駒谷真美さんによる事後調査も実施。

この日の夜の「1116 Night School 第一マホラマ。学園」でも、昼間の放送に触れ、プロジェクトに参加した高校生たちの「卒業」を伝えるということで、ひとりずつ卒業のメッセージを録音して解散。福山に戻ってオンエアを聴いたのだけど、昼間の会合で述べた感想よりもさらにいいコメントを述べていて、スタジオだとおのずと気持ちが高まるのか、すっかりラジオ的な感性を身につけた様子。