番組制作コンテストの審査

日曜、広島県高等学校放送文化連盟の福山支部尾三支部*1が主催する「番組制作コンテスト」に出席。広島県東部の高等学校が、NHK杯と同一の実施要項でラジオ番組を制作し、応募する。NHK杯の前哨戦であり、研修会を兼ねているという。ドラマ部門とドキュメンタリー部門があるが、ドキュメンタリー部門には応募がなく、ドラマ7作品を審査。

会場は誠之館高等学校。この学校に出向くのは初めて。福山藩阿部家の藩校を前身とする伝統校だけあって、実に立派な施設だった*2

午前中が予備審査で、午後は高校生たちもやってきて、作品の鑑賞、審査、講評、表彰という流れ。事前にある程度、総評として話すネタを仕込んでいたんだけど・・・僕が審査員長なのだということを当日に知り、僕を含めて6名の審査員から出た意見をその場でまとめ、最後に集約して話さなければならなかった(そういえば、生まれて初めて賞状を渡す役をやった)。参加した高校生はみんな、熱心にメモをとったり、マイクとレコーダを机の上に置いて録音したりしているので、まるで記者会見のような講評だった。熱心な生徒さんはコンテストの終了後、さらなるコメントを求めて話しかけてくれて、まるで囲み取材のよう。

こういう状況だったので、個人的な感想は少し控え目になってしまったけれど、全体を通して(ドラマとしてのリアリティを損なうくらい)台詞が硬く、滑舌が良かったことに違和感を抱かざるをえなかった。アナウンス技術を重視するNHK杯を念頭に置いているので、こればっかりは言っても仕方ないが、「あえて」言葉を崩すという試みがあってもいい(無自覚に「半疑問形」を使っていて、審査員を困惑させた作品があったけど、自覚的に使う限りにおいては、むしろ好ましいことだと思う)。NHK杯という土俵をいったん取っ払ってしまえば、リアルな演劇とか、ケータイ小説とか、そういう潮流と無関係には考えられないはず。NHK杯に関して言えば、ラジオドキュメンタリーのほうが、そういうジレンマを回避できるという点で、大人と張り合える面白い作品が作れる可能性があるように思う。

*1:尾三地区というのは、尾道市三原市のあたり。

*2:ちなみに、阿部家の大名屋敷があった文京区西片には、誠之舎という福山市民のための学生寮があるほか、江戸藩校の流れを汲む誠之小学校がある。誠之舎には友だちが住んでいて、本郷から徒歩圏内ということもあり、かつて何度か足を運んだ。