ケータイを落とし、拾われる

埼玉県立芸術総合高校へは毎週、小手指駅から早稲田大学(所沢キャンパス)行のバスに乗り換えて通っているのだが、そのバスを降りた直後、ポケットのなかにケータイがないことに気付いた。たぶん座席に落としてしまったのだろうと思い、急いで高校から自局番号に電話を掛けたのだが、どういうわけか着信しない。あわてて西武バスの営業所に電話で問い合わせたのだが、どうやら見つからなかったらしく、授業が終わるまでのあいだに折り返しの電話はなかった(もちろん授業中も落ち着かなかった)。

サービスを停止しようかどうか迷ったが、その前に再び自局番号に掛けてみると、何度目かで繋がり、若い男性が応答した。どうやら早稲田大学で折り返したさいに乗車した学生さんに拾われたらしい。交番や運転手さんに託すということは思いつかなかったようで、持ち主から連絡が入るまで待とうと、そのまま家に持って帰ったらしい。

その学生さんは、夜に用事があって新宿に出かけるというので、その日のうちに受け取ることに。正確な時間と場所は決めていなかったので、新宿に着いたら僕から電話で連絡をとらなければならなかったのだが、現金が使える公衆電話がなかなか見つからなくて焦った。公衆電話が減っているのは言うまでもないことだが、このご時世、テレカしか使えない機種ばかりというのは如何なものか。

歌舞伎町の入り口で、お互いに素性を明かすこともなく、見知らぬ人からケータイを受け取っているというのは、何とも不思議な心象。落としたその日のことだったので、大したお礼を買えなかったのが申し訳なかった。

それにしても・・・仕事がまったく手につかず、疲労困憊の一日だった。