未来心理研究会

午後、ドミニク・チェンさんらが主催する「未来心理研究会」(於:NTTドコモ)に参加。

  http://www.moba-ken.jp/blog/msk/

「SIG-CYB.ORG ―情報化に抗う身体性について」と題され、空間知能化をめぐる人間と環境のインタラクションについて、身体への直接的な人工物の接続(サイボーグ化)、CyberneticsとOrganicのあいだで離散的に探索される身体=情報(Cyb・Org)といった論点を導入して検討。空間知能化といえば、僕が所属している研究室のセンシングルームもその一例なので、なおさら興味深く議論を聴くことができた。発表者のひとりである新妻実保子さんが携わる、Intelligent Space(橋本秀紀研究室)の設計思想は、「従来の”ユビキタス・コンピュータ”は人間不在の場でも存在できるが、知的環境は、主体的な存在なしでは存在できず、共生のために人間を必要とする」というもの。討議の冒頭、人文社会系の伝統的な関心から「身体性」の定義が問われたが、そもそも、知的環境の工学的な設計思想に身体が与件として盛り込まれていること自体が画期的で、それゆえ会話が成り立っていることを過小評価してはいけない。「身体性」、「空間」、「環境」、「インタラクション」といった語彙は、意味合いを分節化することなく素朴に用いられないのは確かだが、そのズレはむしろ、今日の副題として掲げられている「メディア・工学・哲学の横断」にとって、唯一無二の手掛かりでもあるように聞こえた。うがった見方だが、こうした学際指向の場そのものを担保する要件に興味があるので、その点でも勉強になった。

終了後、山王パークタワーの向かいの「さくら水産」で懇談会。ほとんどの参加者とは初対面だったにも関わらず、光栄なことに『未来心理』の論考などで僕のことを知っているという方が多かったのだが、挨拶をするたびに「実物はずいぶん印象が違う」と言われる。どういう意味なのか気になったが、あまり突っ込まないことに。

通常の研究会はクローズドだけど、来月にはICCで公開討議があるとのこと。芸術総合高校の授業があるので行けそうにないなあ。

  http://www.moba-ken.jp/msk/10/index.html