郡上八幡

yut-iida2006-08-28


21日(月)から24日(木)のあいだ、岐阜の郡上八幡で静養(初日の午前中と最終日の夜は大学だったが・・・)。

名古屋から東海道本線で岐阜、そして高山本線に乗り換えて美濃太田まで、さらに長良川鉄道郡上八幡駅まで、片道5時間の行程。7、8月は郡上おどりで賑わっている時期(山内一豊の妻・千代の生地と伝えられていて、とりわけ今年は観光キャンペーンがすごい)だが、ちょうどこの週は中休みにあたっていて、ずいぶんと閑静だった。

昼夜の気温差が激しいので、基本的に”昼間は家から出ないで仕事、早朝と夜に観光を兼ねた散歩”という計画だったが、さっそく2日目、早朝2時間の散歩に疲れてしまい、昼寝をする始末。しかも一部の飲食店を除いて、ほとんどの店が午後5時には閉まってしまうこともあって、どうしても昼間に外出せざるを得ない。

3日目は遠出。すぐ近くの郡上八幡城に登った後、「郡上八幡民藝美術館」というところに行ってみた。ところがここ、個人で蒐集した美術品を展示している美術館で、アノニマスな民藝品は何一つない。そもそも開館時間であるにも関わらず、入り口には鍵がかかっていて、隣の自宅からおばあちゃんが出てきて開錠。むろん冷房は効いていない。いい加減だなあと呆れたのも束の間、おばあちゃんがうちわで扇いでくれながら、ひとつひとつ丁寧に展示品の説明をしてくれた。日本画が中心の1階は、横山大観東洲斎写楽前田青邨など、貴重な作品が多数。喜多川歌麿の直筆画も。民藝と関わりがあるのは棟方志功の版画と直筆画が唯一。2階はまるで、城の天守閣にあるたぐいの博物館のようで、鎧や陣羽織、姫の化粧道具や貝あわせの道具、火縄銃、医学書と薬箪笥、煙草入れなど、江戸時代の遺物が展示されていた。するとおばあちゃん、ショーケースに入っている火縄銃と同じものがもう一本あると言って、物置から出してくれて触らせようとする。火縄銃のほか、鎖鎌、十手、そして異様な形状の槍を出してくれた。鎖鎌の鉄球は想像していたよりも軽い。槍の先端には釣り針のような形状をした棘がたくさんついていて、なるほど「これで人を突くと、絶対に抜けない」らしい。民藝を味わおうと思って来たはずなのに、まさか凶器の手触りを味わうことになるとは。この美術館、開館して10年も経たないらしく、それまですべて倉庫に眠っていたらしい。蒐集したのはすべておじいさんらしいので、おそらく亡くなった後に公開することにしたのだろう。

民藝美術館を出た後、長良川鉄道を少し美濃太田方面へ戻って、みなみ子宝温泉駅へ。ここはいわゆる温泉駅で、ホームから温泉に直結している。郡上八幡駅からの往復切符と入浴料が一緒になったチケットが900円(ちなみに片道の通常運賃は550円)。平日の昼間にも関わらず盛況だった。しかし何しろ午後2時、あまりにも日差しが強いので露天風呂はどうかと思ったが、ちょうど木陰になっているところがあって、そこで湯船につかると快適。風呂上がりに食べた温泉たまご、赤かぶら、冷奴も美味。

かくして、平日は家から出ないで仕事、という抱負はまったく果たせず。滞在中、わりと読書は捗ったけれども、ノートパソコンを開いたのは一度だけという始末。観光も満喫したけれど、インターネットどころかテレビもない旧家で、のんびり過ごせたのが何よりの思い出。FMはずいぶん聴いたんだけど、冥王星がたいへんなことになってるとは、帰京するまでまったく知らなかった。

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